2024

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Chromatic Studies

21 November - 15 December 2024

このたびThe Massでは、Lui Nemeth (ルイ・ネメス) の新作個展“Chromatic Studies” を11月21日より開催いたします。
 
創作プロセスに深く根ざした独自の視点で現代絵画にアプローチしているルイ・ネメス。物理的な形や物体が意図的に排除され、内面の奥深くにある表現しがたいものを探求し、明確な具象表現を避けた彼女の芸術的な形式に対するアプローチは、直感とリズミカルな即興性を重視し、各色や筆致が相互に影響し合うことでその本質を現し、木炭やパステルで「縫い合わせる」ように複雑な要素が統一され、調和が生まれます。
 
今回の展示 “Chromatic Studies” は、昨年からのアイデアを引き継ぎ更に発展させたもので、さまざまなメディアや材質を通じて感情の風景を描き出してい る絵画は感情の現実としての存在を探求する手段であり、音楽のように特定の意味を探ることなく直感的に伝わるものだと捉えています。即興的に色が重なり合い、動きを通して調和していく過程に、音楽制作との共鳴が見出され、そこに人生の複雑さが表れ、各色は独自の感情を持ち、それらが重なり合うことで、存在の美しさを体現する豊かで多層的な表現が生まれます。
 
彼女の作品の中心には、「エネルギー」の絶え間ない探求がある。音と色の感覚的な二重性、存在を質感のある動きに凝縮する試み、あるいは記憶的な特性を通じて、そのエネルギーの探究が作品のさまざまな形に影響を与えています。制作全体にわたって、芸術行為そのもの、表現の生成プロセスに焦点が置かれており、そのプロセスは即興性や絶え間ない変化が本質的に重視されています。創作過程の展開に意義を見出し、完結した表現ではなく、継続的な問いとして提示され、動きによって作品が絶え間なく動き続ける状態を保ちます。

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Time Of Our Lives

28 September - 20 October 2024

2024年9月28日から10月20日まで、The Massは国際的な27人の現代アーティストによるグループ展「Time of Our Lives」を開催いたします。キュレーションはシカゴ・アンソニーギャラリーのイージー・オタボー。
 
参加アーティストは、アルビン・アームストロング、マシュー・バージェス、ライアン・トラビス・クリスチャン、ライザ・アイラーズ、シャリフ・ ファラグ、ダニエル・フルール、ブライアント・ジャイルス、フェブラリー・ジェームス、シドニー・ヒメネス、デイビッド・レゲット、ブレンダン・リンチ、オキ・オフォマタ、アンドリュー・パーク、ジェイコブ・ ロチェスター、エスペランサ・ロサス、ブライアン・ルイス、ミア・スカルパ、カラン・ストラウス、ヘンリー・スワンソン、マイケル・C・ソープ、 エリザベス・ウォーフェル、エリ・ワキヤマ、リョウタ・ダイモン、後藤 武久、岩村遠、宮下怜、柴田夏来です。
 
海外アーティストと日本人アーティストが一堂に会する「Time of Our Lives」では、異なるアイデンティティ、文化、領域の横断を生み出し、
グローバルな文化的コミュニケーションを促します。また、多くの海外アーティストたちにとって日本で初めての展示でもある本展は、東京でアメリカの新進気鋭の才能に触れることのできる貴重な機会となります。本展で展示される絵画、ドローイング、陶芸作品には、ポップカルチャーやインターネットなどのイメージが織り交ぜられ、アーティストたちの捉えた現代の生活の本質が映し出します。また、その作品に現れる多様な素材やコンセプチュアルなアプローチは、伝統的なメディウムに先進性・革新性をもたらしています。
 
原宿にて開催される本展は文化交流のためのタッチポイントであり、シカゴ、日本、そして世界各国の領域を超えた新たな対話を生み出していくきっかけとなります。その多様性と国際的なアプローチは、伝統と現代の 革新が衝突するこの東京のダイナミックなアートシーンと呼応していくでしょう。
今回のコラボレーションについて、イージー・オタボーは次のように話しています。
 
「東京はいつでも私にとって夢でした。この街、特に原宿や渋谷のエネルギーは、私にとって重要なインスピレーションの源です。このギャラリーのダイナミックな現代アーティストのプログラムを日本に紹介 できることを光栄に思っています。」
 
このThe Massとアンソニー・ギャラリーのコラボレーションは、アンソ ニー・ギャラリーに連なるシカゴへのトリビュートとして、これからの
アートシーンにおけるグローバル交流の道を開きます。そして本展は両ギャラリーを、現代アートにおける国際的リーダーに押し上げていくものとなるでしょう。
 
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Needles and Pins

16 March - 14 April 2024

The Massではニューヨーク、ロサンゼルス、ソウル、コペンハーゲンをベースに活躍する国際的なアーティスト20名による展覧会「Needles and Pins」を開催いたします。
 
本展に参加するアーティスト: マーゴット・バード、ローラ・ギル、ジョーダン・イシップ、リッチ・ジェイコブス、アーロン・ジョンソン、河合美咲、倉田裕也、マット・レイナス、レイモンド・レムストラ、ゴーシャ・ラヴォチキン、ダン・マンデルバウム、アンソニー・マイラー、マット・フィリップス、ハンター・ポッター、メイソン・サルタレッリ、佐藤貢一、エリック・ショウ、ジェームズ・ウルマー、マーク・ウォーレン、エリック・ホワイト。
 
本展覧会に参加するほとんどが国際的なアーティスト・グループに属しており、その多くが日本のアートシーンに近しい人々にも馴染みのあるアーティストです。佐藤貢一、リッチ・ジェイコブス、河合美咲、アンソニー・マイラー、倉田裕也、マット・レイナスといったアーティストたちは、何度も日本で展覧会を開催しており、東京のコンテンポラリーのアートシーンではおなじみの顔ぶれとなっています。また、彼らは原宿や渋谷という街の文脈を汲み取りながら作品を発表することも多く、地球の反対側にあるそれぞれのコミュニティと私たちのコミュニティを結びつける役割を担ってきました。今回のグループ展に参加している、ローラ・ギル、ハンター・ポッター、エリック・ホワイト、ダン・マンデルバウム、ゴーシャ・レヴォチキンといったアーティストたちは、アメリカやヨーロッパでの展覧会に参加し知名度を広げてきましたが、東京で作品を発表するのは今回が初めてとなります。東京という都市は、国際的なアーティストやクリエイターにとって常に関心のある場所であり、この企画展は、彼らの仲間内で展覧会を開催したいという純粋でシンプルな願いから生まれました。:
 
「ここ数年、作家仲間の佐藤貢一さんと ”まわりの友人の作家たちと東京で展示とか出来たら楽しそうですね” なんてよく話をしていました。その週にたまたま集まった仲間達に興味あるかと聞いてみたら意外にも熱のこもった快諾がほとんどでした。」
– 倉田裕也
 
本展に参加するアーティストたちは、それぞれ個性的な芸術的アプローチとスタイルを持ち、幅広いテーマとコンセプトを探求してきました。それぞれの作家をグループ分けをする上で、当てはまるアイデアやテクニックはいくつもありますが、本展では包括的なテーマや統一したコンセプトを設定せず、代わりにコミュニティーの探求や、各アーティストが生活し作品を制作する様々な場所や文脈が、いかに独自の絆やつながりを作りネットワークを形成してきたかを示すものであるかという事ににフォーカスを当て紐解いていくもので、ニューヨークを中心とした世界の異なる地域の芸術的コミュニティの一部を紹介し、それぞれのアーティストを結びつけ、これまで培ってきた信頼関係を尊重しながら展覧会としてかたちにすることを目的としています。個人的に親しい友人から、友人の友人、指導者と指導者、生徒と教師の関係、さらには同じギャラリーでの共同作業や展示によって築いてきた繋がりまで、本展に参加する個々の間を横断する関係は、非常にさまざまな形を作り上げてきました。
 
本展は国際的なコンテンポラリーのアート・コミュニティの一部を構成している様々な人物たちの柔軟で相互に結びついた網の目にフォーカスを当てる機会であり、彼らの多くは同じ都市に住み、同じような世代で働き、それを形成するのに役立っている共有可能な部分、または並行する文脈を作品に落とし込んでいます。参加しているアーティストの大半はニューヨークを拠点に活動し、ブルックリンやクイーンズ地区で暮らし、時にはスタジオを共有しています。ニューヨーク在住でないアーティストたちは、かつてニューヨークで暮らし、現在はLAやマサチューセッツに移住、またはニューヨークを拠点とするアーティストたちと密接な繋がりがあり、韓国やデンマークといった遠く離れた地域まで、そのコミュニティは広がっています。地理的な距離と社会的な親和性の両面において、このような近接性が、国籍やアイデンティティの概念を超えたつながりや架け橋を築き、共同体としての意識を育むのに役立っているのです。
 
倉田をはじめ、現在海外に在住する日本人アーティストの多くにとって、この展覧会は、かつての故郷である東京で、また友人たち同士で展覧会を開催するという喜びを分かち合う機会であり、それによって大きな2つのコミュニティがひとつになるのです。また、倉田自身がアーティストの役割について考え、この展覧会に参加する一人一人がいかにしてアーティストという生き方を選んだのかについて問いかける機会でもあります。展覧会のタイトル「Needles and Pins(針とピン)」は、通常「Pins and Needles(針とピン)」という逆の順序で書かれる英語の慣用句に因んでいます。このフレーズは、神経への血液供給が絶たれたときに四肢に起こるピリピリ感やしびれ感を表しています。また、「期待や不安を抱きながら何かが起こるのを待っている」という感情状態を指すこともあります。状況によって、このピリピリした感覚はポジティブにもネガティブにもなり、アーティストが常に未知の世界に存在している状態の反映でもあり、間違いなく多くのアーティストがキャリアのどこかで経験することでもあると言えるのではないでしょうか。この20人の個性的なアーティストたちを結びつけているのは、作品を創作し、世に問うという常に切り離すことのできない根源的なテーマと共に制作をしてきたという部分であり、長年にわたり、時には浮き沈みを経て、アーティストとしての人生を追求しながら独自のコミュニティの一員となるために活動を続けるという意欲は、多くの人々に認知されるべきものであると言えるでしょう。
 
「全員の状況を詳しくは知らないが多くは他の仕事をかけもちしてやってる、またはやってきた人が大半だと思う。日中はアート運送業や美術教員、他の作家のアシスタント業または全くアートに関係ない仕事をしてきた人もいるかもしれない。中にはアーチスト業一本でやってる人もいるのだけど、どの様な状況であれ、アート制作の虫に一度取り憑かれてしまうとどうしてもやめられない中毒性があるのだと思う。言い方を変えればアートを長年制作し続けてる人は制作活動を(やめたくても)やめれなかった人達なのだと思う。うまくいく年そうでない年、どのジャンルもそうだと思うが安定なんてものはない。子供の様に制作に没頭し生活のためには、それを売らなくてはならない。売るというのはある意味、他者から認められなくてはいけない。ここで自分の狭い世界から出て厳しい批評の世界に入る。見透かされたり見当違いなことを言われたりはしょっちゅうあるがたまには褒められる事だってある。それを繰り返すうちに期待と不安を持ちながら作り続けてしまうのだ。そういう観点で”Needles and Pins”というタイトルはぴったりだと思った。」
 
– 倉田裕也、アーティスト、展覧会キュレーター
 
 
Hiroya Kurata, Kame House, Oil on Linen, 1168 x 1067 mm, 2024 Courtesy of the Artist, The Mass
 
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